生分解性ティーバッグとは?|メリット・デメリットとマイクロプラスチックのリスクについて

「ティーバッグって、実はプラスチックでできているものが多い。」
OEMでオリジナルのお茶・ハーブティーブランドを検討していると、一度は耳にする話ではないでしょうか。

実際に検索してみると、「1杯あたり100億個以上のマイクロプラスチックが検出された」といった内容をはじめ、さまざまな関連記事を見つけることができます。

この記事では、自社ブランドのティーバッグ製造を検討している方に向けて、生分解性素材の特徴を中心に、ティーバッグ選びで知っておきたいポイントを整理します。

この記事で分かること

  1. 生分解性ティーバッグについて
  2. 生分解性素材を選ぶメリット・デメリット
  3. マイクロプラスチックの研究について

「生分解性ティーバッグ」とは何か

一般的なティーバッグの多くは、ナイロンやPET(ポリエチレンテレフタレート)といった石油由来のプラスチックで作られています
見た目が布のような「不織布」タイプであっても、主原料がプラスチックであるケースは珍しくありません。

これに対して「生分解性ティーバッグ」は、トウモロコシなどのデンプンを原料とするポリ乳酸(PLA)を使ったティーバッグです。
植物由来の資源から作られており、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される性質を持っています。

2026年6月には、有名な紅茶ブランド「LUPICIA(ルピシア)」が全てのティーバッグフィルターを生分解性素材へ切り替えたことがニュースがなったこともあり、ティーバッグの素材を気にされる方も増えております。

生分解性素材にも「メッシュ」と「不織布」の2タイプがある

ティーバッグの素材は、大きく分けると「メッシュ」と「不織布」の2つの製法に分類されます。
これは生分解性・非生分解性を問わず共通する分類です。

メッシュ

繊維を織り上げて作る網目状の生地。
不織布と比べて、抽出効率がよいことが特徴です。
ティーバッグの中が見えるため、茶葉の見た目のよいハーブティーなどで選ばれることが多いです。

不織布

繊維を織らずに、熱や圧力で絡めて一枚のシート状にした素材。
メッシュと比べて、コストが抑えられることが特徴です。
粉漏れが少ないこともあり、カットが細かい茶葉などを加工するときに選ばれることが多いです。

どのくらいの期間で分解されるか

条件によっても異なりますが、素材によっては6か月以内に微生物によって二酸化炭素と水に分解されるという実験結果もあります。

ただし、ここは誤解が生まれやすいポイントでもあります。

生分解には温度・湿度・微生物の存在といった条件が必要で、「土に還る」といっても、どんな環境でも同じスピードで分解されるわけではありません。

工業用のコンポスト施設を前提とした条件で分解性が確認されている製品も多く、家庭で単純に土に埋めた場合の分解を保証するものではない点は、お客様に説明する際にも注意しておきたいところです。

「生分解性ティーバッグ」のメリット・デメリット

生分解性ティーバッグには、メリットだけでなく気をつけておきたいデメリットもあります。
両方を知った上で選ぶことが大切です。

メリット

①環境に配慮した印象を伝えられる

生分解性ティーバッグは、トウモロコシなどの植物からできた原料を使っています。
石油に頼らない選択をしている、という姿勢を、パッケージの文言だけでなく「ティーバッグの素材」そのもので伝えられるのが強みです。

「SDGs」「サステナブル」といった言葉を意識したブランドは増えていますが、ティーバッグの素材自体がその言葉を裏付けてくれると、お客様への説得力が一段と増します。

環境意識の高いお客様が購入を決める、最後のひと押しになることもあります。

②マイクロプラスチックへの不安に先回りして応えられる

近年、ティーバッグの多くにプラスチックが使われていることが知られるようになり、「体に良くないのでは」と気にする方も増えています。(研究の詳しい内容は、後の章で解説します。)

生分解性素材を使うことで、こうした健康面への影響に対する不安に「プラスチックを使っていません」とはっきりと答えられます

研究自体はまだ発展途上の段階ですが、お客様が気にする前に配慮を示せることは、ひとつのメリットになります。

デメリット

①強度がやや弱く、破れやすい

生分解性素材は、自然に分解されやすい性質を持つ分、通常のプラスチック素材に比べると引っ張りや衝撃にやや弱く、破れやすい傾向があります

大手企業を含んだ多くのブランドで使われている素材なので、基本的には問題なく使用いただけますが、プラスチック素材と比べて破損リスクが高いことは把握しておいた方がよいでしょう。

②コストが高くなりやすい

生分解性素材は、原料や製造工程の特性上、一般的な石油由来プラスチックよりコストが高くなる傾向があります

実際にmy herbで扱っている資材の傾向で見ても、おおよそ次のような相対的なコスト順になります。
(具体的な単価は加工先・ロットにより変動するため、あくまで目安としてご参考ください)

プラスチック製・不織布 < 生分解性・不織布 < プラスチック製・メッシュ < 生分解性・メッシュ

マイクロプラスチックの研究について

ティーバッグとマイクロプラスチックの話題で引用されることが多いのが、2019年にカナダ・マギル大学の研究チームが学術誌『Environmental Science & Technology』に発表した研究です。

プラスチック製ティーバッグ(ナイロン・PET製)を95℃で抽出した場合、1杯あたり約116億個のマイクロプラスチックと31億個のナノプラスチックが放出されると報告された。

出典:Hernandez et al., "Plastic Teabags Release Billions of Microparticles and Nanoparticles into Tea", Environmental Science & Technology (2019)

この研究は世界中で大きく報道されましたが、その後、ドイツの連邦リスク評価研究所(BfR)がこの研究の分析手法に疑問を呈しています。

BfRは、この研究で検出された粒子の多くは真のマイクロプラスチックではなく、プラスチック製造時に生じる短鎖の副生成物「オリゴマー」である可能性が高いと指摘。現時点の知見では健康への悪影響は想定されないとしつつ、データが十分でないため完全な評価はまだできないとした。

出典:BfR「BfR assesses study on tea bags and microplastic particles」

つまり現時点では、「ティーバッグからマイクロプラスチックが検出されること自体」は複数の研究で確認されている一方、その量や健康への影響については研究者の間でも見解が分かれている、というのが正確な状況です。

数字だけが独り歩きしやすいテーマなので、断定的な情報に触れた際は出典を確認する姿勢が大切です。

なお、こうした議論の広がりを受けて、大手飲料メーカーでも生分解性フィルターへの切り替えが進んでいます。

伊藤園は2020年3月、「お~いお茶 緑茶」のティーバッグを植物由来の生分解性フィルターに切り替え、同年4月13日から販売開始することを発表しています。

出典:伊藤園ニュースルーム「『お~いお茶 緑茶』ティーバッグに植物由来の生分解性フィルターを採用」

まとめ

  • 生分解性ティーバッグは、トウモロコシなど植物由来の原料からできた素材。プラスチックと違い、時間をかけて自然に分解されていく
  • 生分解性素材にも「メッシュ」と「不織布」の2タイプがあり、見た目やコストに応じて選べる
  • 「生分解性=どこでもすぐ土に還る」わけではなく、分解には温度や湿度などの条件が必要
  • メリットは、「環境に配慮した印象を伝えられること」・「マイクロプラスチックへの不安に先回りして応えられること」
  • デメリットは、「強度がやや弱く破れやすいこと」・「コストが高くなりやすいこと」
  • マイクロプラスチックの検出自体は複数の研究で確認されているが、量や健康への影響についてはまだ研究者の間で議論が続いている段階

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